UX Tokyo Jam 2014:人間のことを知って、未来をつくる


土曜日にUX Tokyo主催によるUX Tokyo Jam 2014に参加してきました。自分でもセッションを一つ担当しました。

ATOMOSを起業してももう5ヶ月近く。自分なりの仕事の形もできてきた中で、多様な領域にまたがる仕事でもあり、そのスコープについて考えさせられていたところだったので、自分に取ってちょうどいいタイミングでした。複数のセッションを通して、今の時点での考えをまとめることができました。

自分に取ってUXデザインとは、ますます人間のことを理解することであり、それこそが未来のもの作りだという実感を強めました。

オープニング

前田俊幸さんによるキーノートで幕を開けました。UXデザインは、個々のサービスやプロダクトから、それぞれが重なり合う大きなループに取り組むようになっており、扱うタッチポイントも多様化している。範囲としてはほぼ事業全体と重なってくる、というお話。

仕事をしていて、UXデザインが事業運営に深く結びついてくる、一体化してくるというのは常に感じていることです。人に価値を提供するサービスなどの事業において、マネージャーがUXを理解し積極的に取り組まないのはもうあり得ないのではないか。コンセントの長谷川さんからも、懇親会でもこのようなお話をいただきました。

こうした主張に僕は100%賛成です。UXを考えない事業はあり得ないし、事業のために作られないUXもあり得ない。しかし、です。結果、UXが事業運営そのものであるとか、UXデザイナーがマネージャーであるという表現には、僕は違和感があります。僕自身は、Webデザインなどに代表されるような、モノに触れる狭義のデザインの領域に、デザイナーの固有の価値があると思うためです。

前田さんによるキーノート

UXデザインのためのマテリアリズム

キーノート後はマルチトラックでセッションが行われていきました。次は、江口晋太郎さんと山本郁也さんによる「UXデザインのためのマテリアリズム」に参加しました。

江口さんは生活の中でのデジタル技術とのつきあい方を再考する「スローウェブ」といった運動や、選挙におけるインターネット活用についての経験など、生活や社会とのインタフェースという視点についてお話しされました。一方山本さんは、散歩をするなど、余裕のある生活こそがクリエイティビティの源泉というお話などをされていました。

マテリアリズムとは、直訳すると「唯物論」ですが、このタイトルに込められたメッセージは「画面の中のデザインから飛び出そう」といったところで、別に事前にすり合わせたわけではないのですが自分のセッションと共通するメッセージがありました。この流れで、次の自分のセッションを行いました。

江口さんと山本さんによるセッション

EXPERIENCE DESIGN OUT OF SCREEN:これからのエクスペリンスデザイナーの生きる道

僕のセッションは、3年後のUXデザイナーの仕事とは何だろう、ということを議論するものでした。僕の方からは、tabなどのデザインプロセスを紹介しながら、リアルな世界と繋がるUXデザインのポイントとして

  1. Continuous experience
  2. UI based on natural affordance
  3. Contextual awareness
  4. Social interaction
  5. KPI measurement in real world

の5点についてお話をしました。

自分のプレゼンの様子

その後で、LTの時間を設け、村越悟さんが「Rethinking Human Experience 2045年へ向けて、僕らは仕事をどのように考えるべきか」、坂田一倫さんが「Hello, Mirai Design! デザイナーの未来は、ここからはじまる。」、駒ヶ嶺智広さんによるロボット「Rovi」のご紹介、佐藤啓一郎さんによる企業におけるUXデザイナーのニーズなど、活発なご意見をいただきました。

IoT/ウェアラブル/ロボット/AIなど、ITはますます様々な形で生活空間に広がっていきます。これらを技術やビジネスの側面から理解することは、デザイナーに求められることではあります。しかし、すべてについて専門家としてのコミットを持って仕事をすることは、現実的には不可能でしょう。

むしろ、UXデザイナーとして今後さらに追求すべきは、人間の行動や認知のことをこれまで以上に深く広く理解していくことだと思いました。身体性を伴うインタフェースを様々なシチュエーションで利用することになると、そのような専門性がいっそう必要とされると、仕事の中でも実感しています。

村越さんよるLT

坂田さんによるLT

駒ヶ嶺さんによるRoviのご紹介

UXから「生きたUX」へ ー 論から「実践UX」へSHIFTしよう

次は、大隈広郷さんによるUXデザインのワークショップ。テーマは、「UX Tokyoが1年後に社会へ向けて発信する内容を作る」ということで、グループに分かれてブレインストーミングを行いました。

私たちのグループは、「UXデザインが日本経済を復活させる」という内容にまとめ、UXデザインの対象はWebやアプリからより多様なものに広がっていく、結果として成功するプロダクトが増えて日本経済復活の一助となる、その結果としてUXデザイナーから政治家が誕生する、さらには教育現場でもデザインを教えるようになり次の世代へも継承されていく、と。おそらく全グループの中でももっとも壮大な提案だったと思います。

HXワークショップの様子

クロージング

クロージングノートは長谷川敦士さんによる「The Nature of UX」。UXデザインの発展の経緯をまとめながら、UXはサービスが生じさせる結果、ゆえにUXはビジネスそのもの、ゆえにUXデザイナが未来を作る、と力強い言葉で会を締めくくられました。

いずれのセッションも、UXデザインの広がり、すなわち事業において担う範囲、対象、社会との関わりなどについて述べていました。その結果として、UXデザインを通して未来を作っていけるというスタンスが共通していたように思います。

UXデザインは未来のもの作りの当たり前になる。そんな実感を強めることができたイベントでした。

長谷川さんによるクロージング


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