Reality 2.0:現実がインタラクティブになる日


ARはただのhypeだったのか?

僕は以前に、頓智ドット株式会社にていわゆる拡張現実(AR)サービスのセカイカメラの開発に関わっていました。同社が大きな資金調達に成功したことに象徴されるように、ARは世界を変える技術として大きなブームを巻き起こしましたが、実際には期待されたほど使われずにブームが収束してしまいました。

一つの理由としては、SF映画やアニメなどでAR的な技術に対して抱かれてきたイメージは強烈で、それと比べて今日のスマートフォンなどで可能なARの体験が限られたものでしかないことが挙げられます。まだまだ未成熟な技術であることは否めないでしょう。

しかし、今日のデバイスやミドルウェアでも、うまい組み合わせによってはとても興味深い体験を作り出すことは可能です。先日、母が理事長を務める聴覚障害児教育団体のクリスマスパーティーがあり、iPadを使って何か出し物をするよう頼まれました。そこで思いついたのが、ARによって塗り絵が3Dアニメーションになって飛び出すcoloAR mixというアプリです。みんなでやってみたところ、自分の塗った絵が飛び出して動き回る様に、子供も大人も大興奮で、終わってからどうすれば使えるのか、多くの参加者から質問を受けました。このアプリは、スマートデバイスのARアプリとしてはかつてない成功を収める可能性がありそうです。

Oculus Rift:リッチなVRが一般消費者の手に

ARのブームの陰で、こちらもあまり流行らないでいるVR技術も、大きなブレイクスルーの手前にいます。少し前になるのですが、昔からの友人の@needle君に、Oculus Riftを触らせてもらいました。個人的には、これが2013年に触れたテクノロジー製品の中で最も驚かされたものです。全視野をカバーする3D画像と、違和感のない追従性を持ったヘッドトラッキングが、開発者向けでも$300で提供され、一般販売開始時にはさらに安くなると言われています。Oculusは、DoomやQuakeの開発者のジョン・カーマックがフルタイムのCTOとして移籍したり、タイムリーに今日7,500万ドルの資金調達を行うことを発表しました。

@needle君は今週土曜のニコニコ学会でも、RiftにKinectとネットワークを組み合わせて、「Oculus RiftとKinectでVRネトゲを作ってみるべきではなかったかもしれない」と題して発表を行います。Riftの可能性の一端を示してくれる発表になりそうなので、興味のある方はぜひ視聴してみてください。

Reality 2.0の到来

上記のような、ARとVRが両側から僕達の日常に浸透しつつあるのはとても興味深いことです。カメラARに限らず、現実の現象をセンシングしてデータ化することがどんどん広がっている。並行して、現実と見まごうようなリッチなVRが、一般消費者の手に届くようになってきた。この両方が重なり合うと何が起きるか、というと、「現実のVR化、デジタル化」というべき世界が訪れつつあります。

これまで、デジタルの世界とアナログの世界は分かれて存在しており、自由な編集・加工が可能な前者に対して後者は不自由で面倒なものでした。しかし、これまでデジタルな取り扱いが難しかった物や事象までもが、技術の発達によってデータ化および制御が可能になりつつある。メイカーズ・ムーブメントや、ウェアラブル機器が広まりつつあることも、同じ文脈で捉えることができるでしょう。

現実の世界が、あなたのデスクトップやウェブサイトと同レベルにインタラクティブで柔軟なものになる世界。僕はこれをReality 2.0と呼びたいと思います。夢物語のように聞こえるかもしれませんが、上に書いたように必要なコンポーネントは実際に揃ってきています。僕は2020年頃にはこのような世界がかなり実現している、できると考えています。(ちょうどオリンピックの頃ですね!)