2017雑感

今年も今日一日を残すのみとなりました。一年を通して本業がとても充実しており成果も上がったのですが、それ以外にも印象に残る出来事が色々あったので、まとめてみようと思います。

Instagramから今年の9枚


「IoTは三河屋さんである-IoTビジネスの教科書」出版

「IoTは三河屋さんである」表紙
今年韓国でも発刊させていただいた「人工知能は私たちを滅ぼすのか」に続き、マイナビ新書さんから二冊目の著書を出させていただきました。前作よりも、より今日のビジネスに直結した内容になっていますので、IoTにご興味のある方にはご一読いただければ幸いです。特に、IoT製品の主役はインターネットおよびサービスの側であり、エッジのハードウェア側の付加価値向上によるコストアップは時に事業の成功には足かせになりかねない、という理解が広まればと思っています。


iPhone X

iPhone XコンシューマーIT製品における2017年最大の話題といえば、iPhone Xでしょう。幸い発売日に入手することができ、以来メイン機として愛用してきました。果たしてiPhone Xはアップルがいうような「スマホの未来」になるのでしょうか。現在手に入れることのできる最良のスマートフォンというファーストインプレッションに変わりはありません。これまでの4.7インチ画面のiPhoneとあまり変わらなず片手で扱いやすい本体サイズに詰め込まれた、ほぼベゼルレスの対角5.8インチの有機ELディスプレイは、確かに素晴らしいエクスペリエンスを提供してくれます。またカメラも歴代のiPhoneの中では最高で、被写体や周囲の光環境によらず美しい写真を撮ってくれます。ただしベゼルレス/ボタンレスにこだわったことにより、コントロールセンターと通知センターが扱いにくくなったり、ランドスケープモードの操作性が十分考慮されておらず動画を全画面表示にするとセンサーハウジングで一部隠されてしまったり、キーボードが使いにくいなど、UIデザイン上の綻びが散見されます。またFaceIDは指紋認証と比べて遅い、マスクをしていると使えない、Apple Payの認証が行いにくくなったなど、果たして本当に改良と言えるのか疑問も残ります。これまでのアップル製品でも、デザインのパラダイムが大きく変わった最初の世代の製品には磨き残しも多いものです。X世代のiPhoneが7や8と同程度に洗練されるまでには、まだ2-3世代待たなくてはならないでしょう。


反脆弱性-不確実な世界を生き延びる唯一の考え方

「反脆弱性」表紙
今年読んだ本は色々あれど、日本で出版された本の中ではこれがベストでした。今日のネットワークで繋がる世界は、相互の複雑な干渉によって高い不確実性、カオス性に晒されています。著者のタレブの専門であるトレーディングはその代表例です。代表作である「ブラック・スワン」から本作まで、タレブは一貫して、破滅的なリスクを避けるだけではなく、積極的にチャンスに投企する姿勢を推奨します。例えば今年ビットコインに投資した人などはその好例でしょう。コントロール可能な範囲でリスクをとることは、インターネット後の世界を生きていく上で避けては通れないのです。


ドラクエ11

ドラクエ11オープニング画面僕は10以外は全部クリアしてるんですが、7以降はイマイチ好きになれず、本作もあまり期待せずに始めました。しかし、蓋を開けてみたらシナリオ、キャラクター、ボリューム、ゲームバランスなど、シリーズ最高ではないかと感じるレベルの傑作でした。特に、これまでと異なり今作のプレイヤーは初めから「勇者」という特権的な立場には立たせてもらえません。むしろこれまでになかったような逆境が何度も襲ってきます。そのような場面の中で、ある登場人物が主人公にこんな言葉をかけます。「勇者とは、決して諦めない者のことです!」体験者が能動的に行動するゲームというメディアの特性を最大限に活かした物語でした。

またインタラクションデザインの観点から凄みを感じたのが、PS4/3DS(3D)、3DS(2Dドット絵)の3種類の全く異なる表現で同時リリースしたこと。マップデザインやバランス調整は実質3本のゲームを開発する手間がかかったはずです。本作はあらゆる意味で日本の国民的ゲームとしてのドラクエの集大成的な作品でした。


2017年はどんな年だったか

2017年は個人的にも公私ともに充実した年でした。IT産業を見ても、AI、IoT、xR、暗号通貨に代表されるような新しいトレンドが具体的な形になって現れてきた一年でもありました。それは、それらのテクノロジーが多くの人にとって体験できる形になってきたためだと思っています。今年は、これまでで最も自分自身がそうした体験の実現に関われた年だったのが何より嬉しいことです。来年も引き続き素晴らしい体験のプロダクトを作っていきたいと思います。


おまけ:夏休み@ハワイ

夏はお休みをいただいてオアフに行っていました。ダイヤモンドヘッドではハワイの大地に、サンドバーでは海に、ノースショアでは虹とサンセットに触れることができました。都会に暮らしていると忘れてしまう自分と地球との繋がりを取り戻せたように感じました。

ダイヤモンドヘッド
ダイヤモンドヘッド
サンドバー
サンドバー
ノースショアの虹
ノースショアの虹
ワイキキのサンセット
ワイキキのサンセット

未来には、誰でも15分間は世界的な有名人になれるだろう(ただし、同じ時間で破滅もするだろう)

Andy_Warhol_Museum_hallway_wall

未来には、誰でも15分間は世界的な有名人になれるだろう

1968年、アーティストのアンディ・ウォーホルは名声や有名人について語る中でこんな言葉を残しました。一本の動画やツイートが一瞬にして世界中に広まる今ほどこの言葉がふさわしい時代はあるでしょうか。

人は感情的な生き物です。誰もが共感できるような、意義深い内容があれば、人に共有したいと思うものです。特にそれが自分にとって都合のいい言葉であれば、信じてしまいたくなるものです。結果的に、発信者は注目や尊敬を集めることができます。ソーシャルメディアで発信をしている人であれば、人に感銘を与えたり、注目を集めたいという気持ちは少なからず持っているものではないでしょうか。少なくとも自分はそれを否定しません。

残念ながら、世の中にはそれが行き過ぎて、人から見える自分を現実の自分よりもはるかに大きく見せて、エゴを満たすだけでなく、地位や金銭、セックスなどを得るための手段にしようという輩が存在します。

幸か不幸か、仕事をする中でそういう連中を目の当たりにする機会がありました。騙されてお金や信用を失ったり個人の尊厳を傷つけられてしまうような人が一人でも減るように、彼ら彼女らに見られる共通した傾向を書いてみます。

まず、世間の悪人のイメージからはかけ離れて、彼ら彼女らは明るく社交的で、人間としては魅力的です。検証しにくい海外の有名大学や有名企業でのキャリア、有名人との人間関係などを誇ります。

ソーシャルメディアで刺激的な投稿をして多数のフォロワーを獲得しています。また著書を出している場合も多いですが、多くの場合は自らの誇張された成功談と、そこから導き出された社会や人生についての教訓めいた「いい話」が中心。具体的な売上や技術の詳細などに触れる場合は少ないです。

発信は一般的に、特定の専門分野について詳細に述べるというよりも、時々の話題のトピックに対して、常識とかけ離れた意見を述べることで、注目を集めることを内容の正否に関わらず優先します。特に社会のエスタブリッシュメントを攻撃して、持たざる人間の溜飲を下げようとします。典型的には科学や、大企業や、保守的な価値観などを攻撃します。疑似科学を持ち上げることが多いのも特徴です。

彼ら彼女らの好きな言葉は「グローバル」「イノベーション」「アントレプレナーシップ」「ノマド」「プラットフォーム」「創発」。いずれもハイリスク/ハイリターンで自由度が高く、聞き手に夢を与えますが、本人が当事者であることはごく稀です。にも関わらず、他人にはリスクテイクを推奨し、自らはリスクを取らず著書やセミナーやコンサルティングを通して利益をあげます。

彼ら彼女らはいつまでも我が世の春を謳歌することができるでしょうか?世の中そこまで甘くありません。冒頭紹介したウォーホルの言葉は、裏を返せば15分間で破滅する時代でもあることを暗示しています。今の世の中で注目を集めるということは、それだけ多くの評価の目に晒されるということでもあります。虚像はいつしか暴かれ、彼ら彼女らは一転して世間から石を持って追われることになります。

ではどうすれば、こうした詐欺師を見抜けるでしょうか?実は簡単です。本当に意義のある仕事をしている人は、一日10回もツイートしてる暇はありませんし、内容のない本の執筆やセミナーの開催にかまける時間もありません。仕事の内容や結果を出すために日々努めています。綺麗だけど空疎な言葉にかまけて時間をムダにするのはもうやめましょう。あなた自身が価値を生み出すことに時間を費やすほうがよっぽど有意義です。