HTML5とか勉強会での発表(8/26)

日本最大のHTML5関連開発者向けコミュニティhtml5jにて、Web Controller for V-Sido CONNECTについての発表を行いました。

開発者向けということもあり、これまででもっともWebRTCやWebGL等の技術の応用についての詳細を解説しています。

Web技術でここまでできるのか!IoT/WoTの可能性を探る、「第59回 HTML5とか勉強会」レポート(HTML5 Experts.jp 白石俊平さん)

国民的RPGとマルチデバイスエクスペリエンス

昨日発表されたドラクエの最新作11がネットで大きな話題を呼んでいます。その理由は、PS4/3DSという異種マルチプラットフォームで同じシナリオ、しかも3DSでは上画面で3Dポリゴン表示、下画面でファミコン風の見下ろしドット絵という、複数の表現でプレイできる点です。今発表されているだけでも、同じゲームに3種類のUXがある。しかも、今後発表される予定の任天堂の新型ゲーム機NX向けにも発売されるとのことです。

PS4版スクリーンショット

3DS版スクリーンショット

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いつかの/どこかの/誰かの存在を体験できるVRジャーナリズム

Mari Malek

ISILに拘束されていたジャーナリスト後藤健二さんは、本当に残念なことながら殺害されてしまったようです。後藤さんのご発言やご本人の手による取材ビデオなどに触れるにつけ、苦しみの只中にある人達--特に子供への優しい眼差しが伝わってきて、なんという惜しい人を亡くしたのかと、慚愧の念に堪えません。心よりお悔やみ申し上げます。

後藤さんが取材し、最後に拉致されたシリアは、長引く内戦とISILの台頭により、380万人を超える難民が発生しています(国連による)。こうした数字を知っていても、日々の生活に追われる私達は遠く離れたシリアの人々の窮状に思いを馳せることはなかなか難しい、というのが本音のところだと思います。とはいえシリアの現状は、ジャーナリストにとっても高い危険をはらんでおり、今回の後藤さんのようなリスクを冒してまで情報を伝えることを無理強いはできません。

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そんな中で、世界の人々について伝えるために、テクノロジーを活用した一つの試みがなされました。国連と、VR映像制作を手がけるVRSEとの協力により、シリア難民の生活の様子をVR映像に収めた「Clouds Over Sidra」です。これは、VRに懐疑的な人にこそ見てほしい作品でした。 “いつかの/どこかの/誰かの存在を体験できるVRジャーナリズム” の続きを読む

自分のアタマを使わずに、データに頼ることなかれ

ATOMOSでは、製品の開発および技術設計も手がけています。進行中のプロジェクトにおいて、コアな要素の性能が十分でないという課題に悩まされていました。結果的に解消することに成功したのですが、その過程では技術課題へのアプローチについて考えさせられるところがありました。 “自分のアタマを使わずに、データに頼ることなかれ” の続きを読む

バーチャルリアリティがNext Big Thingである

MicrosoftのHoloLensのデモをまだ見ていなければ、ぜひ下の動画を見てみてください。

SFにしか見えない。でもMicrosoftは、何年もかけずにこの技術を実際の製品としてリリースする予定です。まるで電脳コイルの電脳メガネが実現したみたいです。 “バーチャルリアリティがNext Big Thingである” の続きを読む

Apple Watchのホーム画面UIを考察する

Apple Watchのホーム画面

Apple Watch発表の興奮冷めやらぬサンフランシスコで書いています。発表された内容はとても面白かったのですが、小さい画面に丸いアイコンのたくさんならんだホーム画面のユーザビリティには疑問が出るかと思います。しかし、よく見ていくと、このデザインは小画面でアプリを選択するためにUIデザインについての様々な知見が活用されています。その内容を解説します。

ハニカム型の配置

Apple Watchのアイコンは、iPhoneなどのような直交グリッドではなく、ハニカム型に並んでいます。人間の指の特徴を考えると、画面をタップする際に接地する領域は四角というより円に近くなります。そして、円を敷き詰めて配置する際に、ハニカム型は直交格子よりも空間の利用効率がよくなります。

ハニカムと垂直格子の比較
istartedsomething.com

かつて、今のWindows Phoneになる前のWindows Mobile 6.5において、このようなハニカム型の配置が採用されていました。このような互い違いにアイコンが並ぶことで、アイコンタップの精度が向上すると言われていました。

Windows Mobile 6.5のホーム画面
istartedsomething.com

Fisheye ViewズーミングUI

デモのビデオを見ると、コンテンツをパンするにつれて画面中心近くのアイコンが拡大するのがわかります。まるで魚眼レンズを通して見ているようです。このようなUIはズーミングUIの一種であるFisheye Viewとして、情報可視化の世界では古くから知られてきました。([Furnas86]など)

デジタルクラウンを用いたズーミング

上述のような手法を用いても、多数のアプリがある場合には多くのスクロールが必要となります。そこで、Apple Watchの特徴の一つである龍頭(デジタルクラウン)を用いて、さらにアイコンの拡大縮小を行えるようになっています。

通常のサイズ

ズームアウト

まとめ

Apple Watchは、このようにホーム画面一つをとっても、ユーザビリティを深く検討し、過去の様々な知見を駆使したデザインがなされていることがわかります。多くのAppleの新製品でそうですが、ビデオを見るのと実際に触ってみるのとでは印象が変わるものと思います。

Google Material Designのファーストインプレッション

先月のGoogle I/Oで、Googleの新たなデザイン言語「Material Design」と、それを適用したAndroidの新バージョン「L」などが発表されました。Keynoteのビデオを見る、Google Designサイトを読み込む、Nexus 5にAndroid Lのデベロッパープレビューを入れて触るなどしてみたので、ファーストインプレッションを書いてみます。なお、Android Lはプレビュー版であり、多くのアプリはまだMaterial Design化されておらず、ラフな感想であることを断っておきます。 “Google Material Designのファーストインプレッション” の続きを読む

ロボットの汎用OSとは?V-Sidoの挑戦

ソフトバンクが感情的なコミュニケーションを行う人型ロボットPepperでロボット事業に本格参入すると発表して話題を呼んでいます。続いて本日、グループ企業のアスラテックが、増資を行ってロボットOS「V-Sido」の本格的な商業展開を行うと発表しました。発表会にご招待いただいて参加してきました。

これは実はPepperの発表と同等のインパクトのある内容なのですが、Pepperの発表会ほどわかりやすくインパクトのあるデモでなかったことなどもあり、質疑応答を聞いていてもその狙いがメディアにもあまり伝わっていないようでした。

アスラテックがV-Sidoでやろうとしていることを理解するには、デジタル機器における汎用OSの役割とは何か、を理解する必要があります。その歴史を振り返りながら、解説をします。

OSとは、ハードウェアを抽象化するためのもの

私たちが使っているコンピュータの中では、CPUやメモリといったハードウェアが計算処理を行い、様々なサービスを提供してくれます。しかし、ハードウェアに計算処理を行わせるためには、CPUが理解できる機械語でコマンドを送ったり、メモリの個々のアドレスを直接指定するなどする必要があります。ソフトを書く際に、いちいちこのような記述を行っていては、今日利用されているような複雑なアプリはとても実現できないでしょう。より効率的にソフトを開発するために、コンピュータのハードウェア機能を抽象化する層としてのOSが作られました。

これをロボットに置き換えて考えてみると、ロボットはサーボモーターなどのアクチュエーターの塊です。ロボットに何かをやらせるアプリを書く際に、個々のモーターの振る舞いを記述しろと言われたら、ロボットの専門家以外には作れなくなってしまうでしょう。V-Sidoは、行わせたい動作をジェスチャーなどで指示することで、ロボットの関節角度を自動的に決定し、望むような動作をさせることができます。個々のサーボモーターの制御などは、アプリの開発者からは隠蔽されます。(ソフトウェアからはロボットは剛体リンクモデルとして扱われるとのことです。)

人ととロボットをつなぐOS

汎用OSの登場:Write once, run anywhere

OSが利用されるようになった最初期には、個々のコンピュータは個別のOSを備えており、それぞれに合わせたソフトウェアを開発する必要がありました。世界にコンピュータが何台もない時代には大した問題にはなりませんでしたが、コンピュータがより広く利用されるにつれて、幅広い性能を備えたラインナップが求められてくるようになりました。このような多種類のコンピューターに対して、必要なソフトをすべて個別に書かなければならないとしたらこれもやはり効率が悪いです。そこで、多種類のコンピュータのハードウェア上で利用できる、汎用OSが登場しました。IBMのOS/360がこの最初のものと言われています。

V-Sidoは、特定のハードウェアに依存せず、ロボットのための汎用OSとして提供されます。油圧かサーボかといった駆動方式や、関節の数、また場合によっては人型でない、4本腕のロボットなども制御することができます。(これがアスラテックという社名の由来だそうです。)これは、ロボット産業の発展のためには重要です。すなわち、一度V-Sidoを搭載したロボット向けに動作を定義すれば、他のロボットでも同じ動作をさせることができるようになるためです。

V-Sido Connect

OSが提供する統一されたLook & Feel

1980年代に入ると、Mac OSやWindowsのようなGUI OSが登場してきました。GUIの導入によって、アプリはそれまでよりも複雑なUIを実装することがもとめられるようになりました。そこで、OSに新たに導入されたのが、UIのフレームワークです。UIフレームワークを用いることで、個別のアプリでUIのLook & Feelや品質がかなり揃ったことと、その分個々のアプリ開発者の開発負担が軽減されました。

ロボットの場合でも、そもそも二足歩行ロボットを自立させて安定して動かすことが大変です。V-Sidoはここに強みを持っており、いろいろな環境でいろいろな動作をさせても、安定して自立させることができます。開発者毎にいろいろな動作をするアプリを作ったとしても、最低限の安定と、結果的に安全性が保障されます。

V-Sidoの特徴 リアルタイム/安定化/効率化

まとめ

このように、V-Sidoを用いると、
・ハードウェアを直接制御せず
・ロボットのモデル間の違いを吸収し
・かつ最低限安定して動く
アプリを、ロボットの専門家以外でもソフトウェアの開発ができればできるようになります。また、同じアプリがV-Sidoを搭載したロボットで動くようになるため、例えばAndroidスマホのように多数のメーカーによるエコシステムを形成できるようになります。

リッチなアプリを開発できるスマホによってモバイルコンピューティングが爆発的に普及したように、V-Sidoが多数の開発者がロボットアプリを開発できる汎用OSとして確立すれば、ロボットの利用が一気に広がるという可能性はあります。V-Sidoは、このようなポテンシャルを秘めたプラットフォームです。

アプリ/サービスの開発者としては、このようなプラットフォームでどんなアプリを作れるか考えてみたいと思います。今なら、LINEのようなキラーアプリケーションが作れるかも!

アスラテックの皆さん

Reality 2.0:現実がインタラクティブになる日

ARはただのhypeだったのか?

僕は以前に、頓智ドット株式会社にていわゆる拡張現実(AR)サービスのセカイカメラの開発に関わっていました。同社が大きな資金調達に成功したことに象徴されるように、ARは世界を変える技術として大きなブームを巻き起こしましたが、実際には期待されたほど使われずにブームが収束してしまいました。

一つの理由としては、SF映画やアニメなどでAR的な技術に対して抱かれてきたイメージは強烈で、それと比べて今日のスマートフォンなどで可能なARの体験が限られたものでしかないことが挙げられます。まだまだ未成熟な技術であることは否めないでしょう。

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