映画「スティーブ・ジョブズ」


映画「スティーブ・ジョブズ」
スティーブ・ジョブズの新しい伝記映画が公開されたので、観に行きました。

以前にアシュトン・カッチャーがジョブズを演じた映画が公開されています。今回は途中ジョブズにクリスチャン・ベールがキャスティングされていましたが降板し、結局マイケル・ファスベンダーが演じました。その他脚本が「ソーシャル・ネットワーク」のアーロン・ソーキン、監督が「スラムドッグ・ミリオネア」のダニー・ボイルという強力な布陣です。

マッキントッシュ、NeXT Cube、iMacという3つの歴史的な製品の発表を舞台に、ジョブズのビジネスマンとして、そして婚外子のリサの父親としてという2つの側面を描いています。

全体の感想としては、アシュトン・カッチャー版よりもずっと引き締まって面白い映画でした。脚本や演出はこなれており、限られた時間の中でジョブズについてのさまざなエピソードを描いています。特にファスベンダーはジョブズのカリスマ性をうまく表現しており、アカデミー賞にノミネートされているのもの納得です。

ただ、ジョブズというのは私たちの時代で世界にもっとも大きな影響を与えた人物の一人(もしかしたら最大の)であり、その幅広い活動と複雑な人物像は2時間という限られた時間で描き出せるものではありません。

アシュトン・カッチャー版も今回の映画も、劇場映画として仕立てるためにメロドラマになってしまうのが残念です。ジョブズの本当に興味深いところは、時に周りに非人間的に思われるほど、製品と事業にこだわりぬいたことなのだから。個人的にはもっとそういう点を描いてほしいと思うのですが、それでは映画としては共感を得にくいでしょうから難しいところです。

ジョブズが本当に世界に遺したもの

実は今日たまたま東京ミッドタウンで開催されていた、「デジタルメディアと日本のグラフィックデザイン」展にも行きました。古くは1960年代から最近までのデジタルグラフィック作品を展示していました。特徴的なのが、静的なグラフィックだけでなくインタラクティブな作品についても古いMacを用いて実際に動く形で展示されていました。ちょうど自分がインタラクティブメディアを作り始めた90年代にリアルタイムに体験した作品に、当時のMacで再度触れられるのは、感慨深いものがありました。

「デジタルメディアと日本のグラフィックデザイン」展 会場風景

この展示会には、PCは一台もなく、すべてがMacで動いていました。これは、デジタル/インタラクティブメディアの開発において、PCに比べてわずかなシェアしかなかったMacの影響がいかに大きいかを示しています。

ジョブズの作った製品は、伝記よりも、ジョブズが世界に遺したものを雄弁に語っているのかもしれません。