さよなら、インタフェース -脱「画面」の思考法


さよなら、インタフェース表紙

インタフェースデザイナーにとってはなかなか刺激的なタイトルのこの本を読んでみました。著者のゴールデン・クリシュナはアラン・クーパー(VisualBasicの開発者で「ペルソナ」の生みの親としても有名)のクーパーデザインに勤めた後、サムスンやザッポスでUXを担ってきたデザイナー。

著者のメッセージは3つ。

1)画面の中で考えるのではなく、行為の流れを考えよう

これは、カスタマージャーニーといったUXデザインの基本をおさえていればいい話ですね。スマートデバイスのマルチデバイス化やIoTによって、タッチポイントが分散化して、非デジタルのタッチポイントも含めた経験デザインをしないとならない状況が表れています。

2)テクノロジーによって人間に使いこなされる、人の手間を増やすのではなく減らすシステムを作ろう

マーク・ワイザーが提唱したユビキタス・コンピューティングの概念が紹介されているように、主にはセンサー情報などのコンテキスト情報を使ってユーザーが入力しないとならない情報を減らそうという話。昔は研究でしか議論されなかった概念が、スマホやIoTなど様々なセンシングが可能なデバイスが普及したおかげで、実務においても議論されるようになったのは感慨深いです。

3)一人一人に合わせる

パーソナライゼーションの話。特に目新しい話はなし。

ということで、個人的にはタイトルの割には目新しい話はありませんでした。著者のいう「インタフェース」の概念はワイヤーフレームで表現されるような「画面上のインタフェース」に限られており、マルチタッチポイントのカスタマージャーニーやセンサーによるコンテキスト情報の活用などは「インタフェース」には含まれないようです。エクスペリエンスデザイン/インタラクションデザインの実務家なら、今の世の中であればこれらを意識していないとしたらその方が問題かと思います。

ただ、実務家の中でIoTのためのUXデザインとは何かという検討が始まったというのが、このような本が出てくる背景なのだと思います。議論としては一回され尽くした内容なので、今後商用のプロダクトの中にこうした考え方がどう反映されてくるか(反映していくか)に興味を持っています。