上野直樹先生追悼シンポジウム「状況論の未来へ」


上野直樹先生

お世話になった研究者の上野直樹先生を追悼するシンポジウムに参加してきました。

上野先生は、教育研究とアフォーダンス理論に始まり、状況論/エスノメソドロジー/アクターズネットワークなどの社会科学の手法を積極的に研究され、近年では東京都市大学にてオープンデータとARアプリを活用した横浜の地域コミュニケーションの活動に取り組まれていました。

先生とゆかりのある方々が発表をされていましたが、異口同音に述べられたのが、外と内や、開発者と利用者といった境界や区別を自明のものとせず、多様なアクターが多様な役割を担いながら行うダイナミックなインタラクションに注目するという知的姿勢で、それは上野先生ご自身の研究活動の中で実践されていました。

自分自身、2006年に携帯電話向けに街のソーシャルブックマークサービスを作った際に、情報処理の学会などではそれほど注目されませんでしたが、上野先生には大変ご興味を持っていただき、ゼミの研究テーマにも取り入れていただきました。そのようにエンカレッジしていただいたこともあり、その研究がtabに結実しました。tabを東京から地方へと展開を始めた際に、第一の展開地域として横浜が選ばれ、先生が参加されていた横浜コミュニティデザインラボおよび上野ゼミとしてご協力いただきました。tabは結果的に、日本中で40万人の方に使っていただけるまでに成長しました。このように、上野先生のオープンな知的姿勢と、実践的なご活動に、大いに助けていただきました。

60を過ぎてもなお旺盛な知的好奇心のもとに活発な活動をされていただけに、突然の訃報に驚き、また改めて残念でなりません。上野先生のご冥福を心よりお祈りいたします。そして、ご縁をいただいた者の一人として、その知的な遺産を引き継いでいく責任を感じています。