ペルソナの使い方、間違ってませんか


ペルソナ
製品の企画や設計をしていると、当然ながらその製品を「誰が使うのか」が問題になります。UXデザインの方法論の一つとしても、ターゲットとなる顧客の属性をまとめた人物像を作り上げるペルソナ法が広く用いられています。

ところがこのペルソナですが、実際に用いようとするとなかなか難しく、ヘタに用いるとかえってデザインを成功から遠ざけてしまう危険性があります。

ここでは、ペルソナの利用で陥りがちな誤りを取り上げて、ペルソナをより有効に活用できる方法を述べてみたいと思います。

1.製品のターゲットを狭めてしまう

ペルソナを用いたあらゆる方が、この問題を一度は感じたことでしょう。この製品を主に使うのは誰だ?女性だ!主なターゲットは若い子か?Yes!まずは色使いを、ピンク中心のパステルカラーにしよう…しかしちょっと待てよ?このアプリを使う人は、別に若い女の子「だけ」ではないはず。なのに、ここまでデザインを偏らせてしまうと、かえってユーザーを絞り込んでしまうのではないか。でもコンバージョンは高くしたいし…

たとえば服、またアプリでも製品企画から女子向けに絞ったカメラアプリなど、明確にターゲティングされた製品の場合は、こうしたクリエイティブの最適化は有効でしょう。一方で、多くのIT製品は、使うデモグラフィックをそれほど問いません。であるにも関わらず、顧客視点の名の下に、結果として顧客を狭めるような絞り込みがされてしまうことがあります。

大事なのは、ターゲットの絞り込みよりも、その製品がどんな課題を解決するか。そして、その課題は、どれだけ多くの人が共通して抱えているかを考えることです。そうすることで、製品の価値を最大限多くの人に届けることができるようになります。

潜在需要を開拓するには、顧客よりもまず顧客以外の層に、相違点よりは共通点に注目してはどうだろう。セグメンテーションに躍起になるのではなく、むしろ脱セグメンテーションをめざすとよいのだ。(W・チャン・キム+レネ・モボルニュ 「ブルーオーシャン戦略」より)

2.デモグラフィックよりサイコグラフィック

紙の雑誌は、長らく年齢/性別/所得などのデモグラフィック情報に応じたセグメンテーションでライフスタイル情報を提供してきました。しかし、国内では雑誌の売り上げは減少し続けており、マイクロコンテンツ化したウェブに顧客を奪われ続けています。たとえば親子で同じブランドを買ったり、ポルシェに乗りながら服はユニクロで買うなど、ライフスタイルが多様化/成熟化する中で、デモグラフィックからのターゲティングの精度には期待が持てなくなってきています。

ペルソナを構成する要素は、上述のようなデモグラフィック特性に加えて、その人を動かす要因となるサイコグラフィック特性があります。サイコグラフィック特性としてよく用いられるのは、その人が現状に感じている課題と、将来に持っている希望、という二つです。これらの課題に対するソリューションに対しては、ニーズが存在するだろうと考えられるため、ペルソナを構築する上でデモグラフィックよりも重要です。

3.そもそもペルソナが妄想ベース

有効なペルソナを作り上げるためには、実際の人を知らなければなりません。ところが、製品企画にそこまでのリソースをかけられない(悲しいことに、多くの)場合には、せいぜい身の回りの人か、ひどい場合にはまったく存在しないペルソナをイメージだけで作り上げてしまう場合があります。特にペルソナが異性の場合などに顕著です。

意味のあるペルソナを作るためには、インタビューや観察、マーケティングデータの収集などを通じて、製品の顧客となり得る人が持っている共通の属性、特にサイコグラフィック特性を明らかにします。たとえ数人程度であっても、本当に想定するような課題をもっているかどうか確認する労を割くことで、その後に何百時間、何百万円が節約できるなら、やる価値はあるはずです。

まとめ:ペルソナを有効に活用するためには

ペルソナは、製品のソリューションとしての仮説を検証するためのツールです。ゆえに、何より大事なのはペルソナがその顧客の持つ課題、求めるもの、すなわちサイコグラフィック特性を表現できることが重要です。細かなデモグラフィック特性は、シナリオを描いてその製品が利用される状況のリアリティを表現する上では有効ですが、その製品のターゲットを特定のデモグラフィックに絞るかどうかは別の話です。何より、ペルソナの構築、あるいは仮説の検証にあたっては、実際の人間と接することが必要不可欠です。

これらのポイントに気をつけることで、ペルソナがより有効に活用できるようになります。